キミを想うトキ
「菜摘は親父と愛人の間に出来た子なんだ。」
「愛…人……?」
窓の隙間から
少しだけ夕陽が差し込んで
飴玉男をオレンジ色に染める
「まぁ親父からしたら愛人が本命だったんだけどね。」
飴玉男の端正な顔立ちが
夕焼けに照らされて
あたしは目を細めて見つめていた
「親父と母さんはいわゆる誓約結婚。そこに愛情の欠片もない。
ただ親父の会社の為に母さんと結婚しただけ。」
甘い甘いストロベリーの香りが漂う部屋に
飴玉男は切なそうに顔をしかめた
「ちなみに俺は母さんの連れ子。だから親父とも菜摘とも血は繋がってないんだ。」
連れ子―――?