キミを想うトキ
「でもさ、こんな俺の事慕ってくれてるんだ、菜摘は。」
あたし以外の女の子を呼ぶ飴玉男の瞳は
捨てられた子供のように悲しそうだった
「菜摘さ、明日ニューヨーク経つんだ。」
「ニューヨーク…?」
「向こうには親父が居る。親父は菜摘を傍に置いておきたいんだと思う。」
真っ直ぐな瞳が少しだけ揺れて
あたしと飴玉男の視線がぶつかった
「この前菜摘はそれを言いに来たんだ。」
あたしの脳裏にあの時の映像が駆け巡る
あたし………
何勘違いしてたんだろう…
傷ついた瞳で見つめる飴玉男に
あたしの瞳から温かいものが流れた