キミを想うトキ
錯覚
「ねぇ、用事済ませなくていいの?」
歩き出した飴玉男にあたしも合わせて歩き出す
「今から済ませるよ。そこまで付き合ってくれる?」
「どこ?」
「内緒♪」
「はぁ?何よそれ。」
ブツクサ言いながら飴玉男の後を追い掛けて着いたのは
ブランド物が並ぶデパート街
「これ似合う?」
そう言って自分の首元にネクタイをあてて見せた
「ネクタイ?そんなの買ってどーすんの?」
制服姿のあたしは明らかに場違いで
周りの視線が気になって仕方ない
「今度親父が帰って来るんだ。」
「お父さん?」
ネクタイを選びながら飴玉男は話し続けた
「お得意さんと会食があるんだって。それに行かなくちゃいけないんだ。」
次々ネクタイを手に取る飴玉男を見つめたまま
あたしは耳を傾ける