キミを想うトキ
「一応、俺後継者だからね。」
そんな飴玉男の言葉に
あたしは違う世界の人なんだと実感してしまった
当たり前のように傍に居て
とても御曹司とは思えない素振りの飴玉男は
いつもあたしの身近な存在
だけど本当は違う
あたしとは生きる世界が違い過ぎる――…
「あー!ダメだ、選べない!桃ちゃん選んでよぉ!」
「………ごめん、あたしやっぱり帰る。」
「え!?」
あたしは来た道を戻るように歩き出した
「桃ちゃん、どしたの?」
「来ないで。ネクタイ、選びなよ。」
追い掛けて来る飴玉男を振り払うように早歩きで進む
早く気が付くべきだった
元々違う世界の人で
普通の高校に通ってる事
飴一つ落としただけで泣きそうになるあの性格
あたしなんかを好きだと言う飴玉男
そのせいで全て錯覚してしまったんだ
バカみたい。