キミを想うトキ
飴玉男
―――次の日
あたしは見事に寝坊して
お昼から学校に向かった
寝坊と言うより
めんどくさかったのが一番の理由なんだけど。
「うん、もうすぐ着くよ。じゃーね♪」
春の日差しが心地よくて
あたしは携帯片手に終始ご機嫌♪
千絵との電話を終えてあたしはポケットに携帯をしまった
ん?
ふと指先に触れた感覚に
特に意識もせずそれをポケットから取り出したあたし
飴……
高々と飴を太陽にかざして
あたしは昨日の事を思い出した
転がり回る飴玉を悲しげに見つめる彼
あの飴、食べたのかな。
太陽に照らされ透ける丸い飴を見つめながら
鮮明に浮かびあがる昨日の出来事
そう言えばあの制服……
うちの学校だ。
そんな事を考えながら袋を破り
残り一つになった飴を口にふくんだ
甘い甘いイチゴ味
たった一つの飴からこの破天荒な恋が始まるなんて
思いもしませんでした。