キミを想うトキ
「てめぇ、何してんだよ!!」
ボコッと鈍い音と共に地面に倒れた男
「あ…飴玉男…」
涙で滲んだ瞳に
確かに映ったのは飴玉男だった
「何すんだよ!」
「きゃ…ッ」
もう一人の男が飴玉男に向かい
拳を振り上げる
飴玉男はそれを器用にかわして
もう一人の男も殴り倒した
「や、やめて!もういいよ!」
「桃ちゃん……」
あたしの言葉に
握っていた拳を下げた
ビビった二人組は
どこかに逃げるように去って行った
「大丈夫?」
水で濡らしたハンカチで
飴玉男の右手を冷やす
あたし達は人混みを避け
小さな公園のベンチに腰を下ろした
遠くで花火の音がする
「暴力はダメ。」
真っ赤に腫れた拳
「でもアイツ等…」
「ダメなの!」
遮るように強い口調で言ったあたしに
飴玉男は黙ってしまった