キミを想うトキ

雨音が静かに校舎を包んで


突然、教室の扉が開いた





その姿に
あたしは急いでポケットに紙切れを突っ込んだ




「沖村さん、サボり?」


「ま、まぁ。」


「じゃああたしもサボればよかったぁ。」




そう言ってあたしの席の前に座る橘さん





千絵と目が合った



「ねぇ、沖村さん!」



突然立ち上がり
振り向いた橘さんは


ニコニコとうざったい笑顔を振り撒いてあたしに尋ねた




「昨日、市ヶ谷くん何か言ってた!?」


「……別に。」



そう返事をしたあたしに
そっかぁ。と落ち込んだ様子で椅子に座り直した





何だかこの場に居たくなくて


あたしは千絵の腕を引いて教室を出た




< 196 / 259 >

この作品をシェア

pagetop