キミを想うトキ
「ただいま。」
誰も居ない家に
あたしの声が響く
お姉、仕事か。
返事のないリビングの扉を力なく開けて
あたしはソファーに寝転がる
濡れたままの制服が少し
ビニール袋からはみ出ていた
おかしいとは思ってた
何かがおかしいと
度々なくなるあたしの私物
でもそれはなくなっても大して困る物でもなくて
どこかに落としたんだろう
その程度にしか思って居なかった
心当たりはある
あたしの事が気にくわない奴
一人しか居ない
でもどうすればいいのかなんて
わからなかった
面倒な事には巻き込まれたくない
そりゃ確かに腹は立つけど
仕返ししてやろうとか
何か言ってやろう
そんな気持ちにはならなかった