キミを想うトキ

“学校戻って来なよ!待ってるから!”




そう言った千絵からの電話は切れて


終話音が響いた





視界の端で

濡れた制服が映る





『大好きだよ、桃ちゃん。』

笑う飴玉男



『あたし諦めないから。』

強い眼差しで言った橘さん



『待ってるから!』

心配してくれる千絵





色んな事が頭を巡って


あたしは立ち上がった





飴玉男!




部屋に掛け上がってクローゼットを開けた



もう一つあった制服を取り出して着替えたあたしは


携帯と定期だけを握りしめ
走り出した



< 206 / 259 >

この作品をシェア

pagetop