キミを想うトキ

昔から雨が嫌いだった



傘からはみ出た肩が雨に濡れる感じも


歩く度に革靴に入り込む雨も


せっかく巻いた髪の毛がほどけていく感じも



大嫌いだった






「桃ちゃん!」


あたしの腕を掴んだ飴玉男



持っていた靴が雨に濡れた地面に転がり落ちた





「ね?戻ろ?」


力強い手が
あたしの心を引き止める




「まだ、いいじゃん♪」


そう言ったあたしは掴まれた腕を振り払った



「桃ちゃんってば!」


「きゃ……ッ!」


再び掴まれた腕の力にあたしは体制を崩してしまった




「桃ちゃん!!」



ザバーン!!!




激しい水しぶきがあがって


全身に冷たさが駆け巡った





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