キミを想うトキ
嫌いだった
相合傘をするカップルを見つける度に
『バカみたい』
そう思ってた
だけどあなたと出会って
雨も悪くないかも
そう思えたんだ
「「ぷはッ!」」
水中から顔を出したあたしは
濡れた顔を手のひらで拭った
「もー。危ないよぉ!」
あたしと同様に
手のひらで顔を拭った飴玉男が
少し困った表情を浮かべてる
水を含んだ洋服が重たい
「桃ちゃん?」
雨は相変わらず止む気配など見せず
プールに落ちたあたし達に降り注いでる
「……でね…」
「え?」
プールに浮かんだまま呟いたあたしに
飴玉男が聞き返す
「…元気…でね?」
喉の奥から振り絞るように出たあたしの掠れた声
「……桃ちゃん…。」