キミを想うトキ



「桃ーッ!!」



広々としたキャンパスに響き渡る
大きな声




あたしは振り返り笑顔を溢した




「何?」


立ち止まったあたしは走り寄るその子に尋ねた




「さっきからずーっと呼んでるんだよ?」


「ごめん、ごめん。」


頬を膨らませる茜にあたしは顔の前で手を合わせる




茜(アカネ)は大学に入ってから出来た友達




千絵は保育士を目指して短大に進んで
あたしは心理学を学ぶ為この大学に決めた



千絵ほどに気の合う友達は居なかったけど
それなりに充実した毎日を送っている





大学2年になった今日も空が青い





「で?どうかした?」


授業を終えたあたし達は
賑わう廊下を歩きながら食堂へと向かう




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