キミを想うトキ
「桃ちゃんって可愛い名前だよねぇ♪」
「どこがよ。あたしは嫌い。」
過ぎ去る車の列を目で追い掛けながら
トゲのある言葉を吐き捨てる
「嫌いなの?」
躊躇いがちに聞く飴玉男に
「大ッ嫌い。」
力を込めてそう答えた
パパが付けた名前
あたしは自分の名前が嫌い
だから自分の事を名前で呼ぶ女の子の気持ちがよくわかんない
あたしは、あたし。
「……桃ちゃんにすごく似合ってるのに。」
「そりゃどーも。てかあんた、一体何なの?」
何だか無償にイライラして
冷たい口調でそう言ってしまった
「何って……
何が?」
言葉の意味を理解してない飴玉男の態度に
更にイライラが増す
「だから!一目惚れとか、天使だとか!意味分かんないだけど!何の嫌がらせ?」