キミを想うトキ

「あーぁ。どしゃ降りじゃん。」

グレーな空を見上げてあたしは手のひらで雨を集める



「桃ちゃん傘持って来てないの?」

「だって朝超晴れてたじゃん。」

「ダメだよ~朝天気予報見て来なくちゃ!」


そう言って飴玉男はビニール傘広げて手招きをする


「相合傘しよッ♪」

「………やだ。」


あたしと同じく
傘を持ち合わせて居ない生徒達が
頭にカバンを乗せて校門へと走って行く



「だってそのままじゃ濡れちゃうよ?」

「いーよ別に。バス停まで走るから。」


あたしと飴玉男が利用するバス停は
少し屋根があって雨宿り出来るスペースがある



あたしの言葉を聞いた飴玉男は
ふーん。と言って続けて

「じゃあ俺も傘いーらない!」

グラウンドめがけて傘を投げ捨てた




「ちょ、ちょっと!」

呼び止めるあたしを無視して
飴玉男は雨が降る外へと走り出す



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