キミを想うトキ
「もう、あんたと居るとろくな事ない!」
せっかく丁寧に巻いた髪の毛も
いつもより気合い入れたメイクも
雨に流されてみすぼらしいあたし
それでも降り止まない雨に
あたしはついに道路の真ん中で座り込んだ
「桃ちゃん……」
あたし同様に全身びしょ濡れの飴玉男が
目の前に佇む
「あそこまで……歩ける?」
「え…?」
飴玉男が指さした先には
どの家よりも一際目立つ豪邸が建っていた
「このままじゃ風邪引くよ。ね?」
そう言って飴玉男は再びあたしの手を掴んで歩き出す
優しくて
暖かい飴玉男の手
心地いいその手の温もりに
あたしは仕方なく再び歩き出した