キミを想うトキ
市ヶ谷家
「おかえりなさいませ、お坊っちゃま。」
豪邸の門を潜り抜けて
長い長い庭園を手を繋いだまま歩いてた飴玉男とあたしに
家政婦らしき人が深くお辞儀をして出迎えてくれた
な、何!?
一体何なの!?
イマイチ状況が理解出来なくて
完全にパニック状態のあたし
「父さんは?」
きらびやかなシャンデリア
広すぎる玄関を通りぬけた飴玉男は
数十人と並ぶ家政婦さん達に声をかける
「ご主人様は先程ニューヨークに発たれました。」
ふぅん。と大して興味なさげな返事をする飴玉男の横顔を見つめながら
あたしは未だ理解出来てない頭で考えた
ここは飴玉男の家なんだろう……
多分……
いくつも並ぶ高そうなツボを前に
あたしは飴玉男の後ろをくっついて歩く