キミを想うトキ

まるで博物館のようなこの家は

あたしの視界にはとても収まり切らない



「とりあえず風邪ひいちゃうからお風呂、入って来なよ。」

挙動不審なあたしに語りかける飴玉男



その顔はいつも学校で見せていた飴玉男とはまるで別人で

あたしは促されるまま浴室の扉を開けた




「な、何ここ……」


浴室へと足を踏み入れたあたしは
あまりの光景に言葉をなくした


大きなガラス張りの浴室から
さっきまでいた街が一望出来るドでかい窓



10人程入れそうな浴槽には
ミルクのような入浴剤と薔薇の花びらが浮かんでる


「ここにタオルあるから適当に使って。着替えは後で何か持って来させるね。」


テキパキと話す飴玉男は
一通り用件を伝えると浴室から出て行ってしまった



< 63 / 259 >

この作品をシェア

pagetop