キミを想うトキ
「ありがと……」
あたしはそう一言だけ飴玉男に告げた
本当はもっと色んな事伝えたかったのに
口にしたら泣いてしまいそうだったから
“ありがと”
それだけは伝えたかった
「桃ちゃんが産まれた今日に感謝しなくちゃね。」
「感謝……?」
「うん♪例え桃ちゃんが俺を好きになってくれなくても、こうして出逢えた事が俺にとっては最高の幸せ。」
そう言って優しくあたしの頭を撫でる飴玉男の大きな手
どうしてこの人はこんなに真っ直ぐなんだろう
どうしてそんなに素直なんだろう
飴玉男の言葉は
今までもらったたくさんの言葉の中で
一番嬉しくて
あたしの涙腺はもう崩壊寸前で
それを見られないようにうつ向いた