いつも隣にイケメン君
プールに入る前にシャワーを浴びた以外は全く水に触れていなかった私の髪は、
風を受けてサラサラとなびいて後ろに流された。
「わわわっ結構速い……」
梓に聞こえないくらいの声量で呟いたが、
なぜかその後、私の腰にまわる梓の腕の力が少し強まった。
「あ、もう終わりだ…」
ウォータースライダーの下のプールが見えて、もう終わりなんだと感じた。
梓とこんなに近付けるのも、
終わり、か…。
って、何?
このモヤモヤしたような気持ち…。
私は自分の心の中の異変に疑問を抱きながら、ウォータースライダーを滑り切った。
「ふー。楽しかった…」
プールから顔を出して辺りを見回すが……
「あれ?梓は?」
プールの中を見ても、いない。
えっ、嘘?!
はぐれた?!
いや、滑り終わった時は一緒にいたはずだよ!
「あ、梓ぁぁー!!」
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