black rose


「ふふっ。謝んなくても…。」

彼はそう言って黙り込んだ。


そんな彼に私はお礼を言った。


「あ、あの。ありがとうございます。

 助かりました。」

「うん。俺は大したことしてないよ。

 腕大丈夫?」

「あっ、はい。
 ちょっと赤くなってるだけなんで…。」

そう言った私の腕をとって、彼は
顔をゆがめた。

「え、えっと、どうかしましたか?」


「あぁ、痛くない?」

「あ、はい。大丈夫です。」

私は咄嗟に痛くないと言ってしまった。

「いっ!」

彼は軽くだが、私の腕を握った。

「やっぱり。」

そう囁いて、何処かに電話し始めた。
< 23 / 83 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop