black rose
「ふふっ。謝んなくても…。」
彼はそう言って黙り込んだ。
そんな彼に私はお礼を言った。
「あ、あの。ありがとうございます。
助かりました。」
「うん。俺は大したことしてないよ。
腕大丈夫?」
「あっ、はい。
ちょっと赤くなってるだけなんで…。」
そう言った私の腕をとって、彼は
顔をゆがめた。
「え、えっと、どうかしましたか?」
「あぁ、痛くない?」
「あ、はい。大丈夫です。」
私は咄嗟に痛くないと言ってしまった。
「いっ!」
彼は軽くだが、私の腕を握った。
「やっぱり。」
そう囁いて、何処かに電話し始めた。