Tears in Heaven~天国へぼくの涙を~

昼下がりの事件


やがて3月の終わりが来て、アズミは20歳になった。

真昼の午後、ケーキに20本のろうそくを立てて、ぼくはアズミにCDをプレゼントした。

僕がいま、練習しているエリック・クラプトンの曲だ。


「わぁ、ありがとー」
アズミはさっそくそれを聴いた。

彼女は嬉しそうに、「今度、亮平バージョンも聴かせてね」と言った。


「ところでわたし、タバコ臭くない?
まえから、少しずつ吸ってるのよ」

「ぼくも吸うから臭わないけど」

「もう20歳だもんね。
これで親にも堂々と言い訳できるわ」


ぼくには、タバコなんてどうでもよかった。

ぼくはふいに、彼女を引き寄せてキスした。

彼女はかなりびっくりしたようだった。
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