凶漢−デスペラード
「ところで、実際に現状はどうなんだ?」
「新宿から流れて来た連中は、元々福建省のグループで、長いこと歌舞伎町一帯を収めていたんです。それが、ここ数年の厳しい取り締まりで、大物が相次いで国外退去となり、残った者達も、歌舞伎町では商売が出来無くなり、散らばってしまったんです。その中の主立った者達がこの渋谷に流れて来たんです。」
「あんた達とはグループが違うという事だが…」
「私の元に集まっているのは、大連を中心にした関東省のグループなんです。渋谷は元々、台湾出身者を中心とした戦前からの華僑が力を持っていました。私達は、以前から居た華僑グループの顔を立て、彼等同様真っ当な商売で根を張ろうとしました。飲食店、エステ、デートクラブ…いずれも他とはトラブルを起こさずにやって行くという暗黙の取り決めをこれ迄守って来ました。」
「俺との事はトラブルには入らないか……」
「あれは、神崎竜治という方の器量を探りに行っただけですから…」
「買い被られてるとしたら、少しばかり訂正して欲しいな…」
「大丈夫です。私は、これでも人を見る眼には自信がありますから…それは別として、昨年の今頃から現れ始めた奴らは、その殆どが犯罪者集団です。太く短く荒稼ぎ…これが奴らのやり方です。奴らは、同国人である私達や台湾系に対しても敵意を剥き出しにし、やりたい放題の事をしています。特に中国人の若い娘を客引きに使い、ぼったくりのエステに客を無理矢理連れ込んだりしています。お陰で、私達のような真っ当な店に迄悪い評判が立ち、客足は遠退く一方なんです。」
「奴らがやってる店はどれ位あるんだ?」
「現在、中国エステが六軒、デートクラブが二軒…これは、表向き韓国エステという事で営業していますが、中国エステよりも、韓国エステの方が通りがいいからそうしてるだけ…この他に、マンション麻雀が定期的に何箇所かでといった具合です。」
「先ずは何をどうしたらいいとあんたは思ってるんだ?」
「全てを一気にという訳にはなかなか行かないでしょうから、手っ取り早い所でエステ関係がいいのではと…」
竜治は暫く考え、少し時間をくれとヤンに言った。
「新宿から流れて来た連中は、元々福建省のグループで、長いこと歌舞伎町一帯を収めていたんです。それが、ここ数年の厳しい取り締まりで、大物が相次いで国外退去となり、残った者達も、歌舞伎町では商売が出来無くなり、散らばってしまったんです。その中の主立った者達がこの渋谷に流れて来たんです。」
「あんた達とはグループが違うという事だが…」
「私の元に集まっているのは、大連を中心にした関東省のグループなんです。渋谷は元々、台湾出身者を中心とした戦前からの華僑が力を持っていました。私達は、以前から居た華僑グループの顔を立て、彼等同様真っ当な商売で根を張ろうとしました。飲食店、エステ、デートクラブ…いずれも他とはトラブルを起こさずにやって行くという暗黙の取り決めをこれ迄守って来ました。」
「俺との事はトラブルには入らないか……」
「あれは、神崎竜治という方の器量を探りに行っただけですから…」
「買い被られてるとしたら、少しばかり訂正して欲しいな…」
「大丈夫です。私は、これでも人を見る眼には自信がありますから…それは別として、昨年の今頃から現れ始めた奴らは、その殆どが犯罪者集団です。太く短く荒稼ぎ…これが奴らのやり方です。奴らは、同国人である私達や台湾系に対しても敵意を剥き出しにし、やりたい放題の事をしています。特に中国人の若い娘を客引きに使い、ぼったくりのエステに客を無理矢理連れ込んだりしています。お陰で、私達のような真っ当な店に迄悪い評判が立ち、客足は遠退く一方なんです。」
「奴らがやってる店はどれ位あるんだ?」
「現在、中国エステが六軒、デートクラブが二軒…これは、表向き韓国エステという事で営業していますが、中国エステよりも、韓国エステの方が通りがいいからそうしてるだけ…この他に、マンション麻雀が定期的に何箇所かでといった具合です。」
「先ずは何をどうしたらいいとあんたは思ってるんだ?」
「全てを一気にという訳にはなかなか行かないでしょうから、手っ取り早い所でエステ関係がいいのではと…」
竜治は暫く考え、少し時間をくれとヤンに言った。