凶漢−デスペラード
「その鞭の話しと、荘の件がどう繋がるってんだ?」
「これは、あくまでも私個人の想像ですが…荘が会っていた人間は、尚武会の金田…」
「それなら別におかしくないだろう…」
「と、河田…」
「河田?…」
ひょっとしたらという感じは、ヤンの口から出る前から少しはあったが、実際に聞いてみると、やはりどういう事だろうという気になる。
「それと、古森…」
更に意外な名前が出て来た。
「古森って…あのオッサン、あんたの後ろ楯じゃなかったのか?」
ヤンは否定も肯定もしなかった。
「それはそれとして、河田だけじゃなく、金田と古森のオッサンが加わってたとなると、会ってた理由が俺には皆目見当付かないだが…」
「この事を知った私は、最初、親栄会と尚武会が古森を間に入れ、話し合いの場を設けた、そう考えられなくもないと思ったのですが、それなら何故、私に一言も話しが来ないで、荘だけがその場に居るのか…一度、貴方を狙って失敗した荘が、あのままでいるとは考え難い。そこに飴と鞭の件…」
「荘が鞭の役?」
ヤンが頷いた。
悪い方に勘繰れば、そう思えなくもない。
しかし、竜治は幾ら何でもそれは無いのでは、という気がした。
「親栄会と古森は私に渋谷を任すと言ってたんですよ。荘達には渋谷で商売をさせないとはっきり言っていた。仮に、今回の事が私の危惧している内容とは全然違う事であったとしても、ならば私に一言も話しが無いという事は、どうしてなんです?今、親栄会はいろいろ複雑な状況のようです。澤村さんが死んで、河田が跡を継いだ事も、かなりきな臭い話しになってるんですよ。どうも、古森がバックに付いているらしいんです。あの人、ヤクザを引退したと言っても、野心家ですからね…」
ヤンの話しを聞いても、今一つ納得出来ない部分があったが、しかし、竜治にしてみれば、荘という人間は、一時期、ヤンのみならず、親栄会全体で的に掛けた人間である。
単に、手打ち的な話しの為に会っていた訳ではあるまい。
そういう話しならばもっとトップの人間が出て行く筈だ。
金田はともかくとして、河田では役者不足だ。
「私は日本人の信義を信じたい。ですが、今は揺らいでいます。はっきりと私が信じれる日本人は、妻と神崎さん、貴方だけです…」
「これは、あくまでも私個人の想像ですが…荘が会っていた人間は、尚武会の金田…」
「それなら別におかしくないだろう…」
「と、河田…」
「河田?…」
ひょっとしたらという感じは、ヤンの口から出る前から少しはあったが、実際に聞いてみると、やはりどういう事だろうという気になる。
「それと、古森…」
更に意外な名前が出て来た。
「古森って…あのオッサン、あんたの後ろ楯じゃなかったのか?」
ヤンは否定も肯定もしなかった。
「それはそれとして、河田だけじゃなく、金田と古森のオッサンが加わってたとなると、会ってた理由が俺には皆目見当付かないだが…」
「この事を知った私は、最初、親栄会と尚武会が古森を間に入れ、話し合いの場を設けた、そう考えられなくもないと思ったのですが、それなら何故、私に一言も話しが来ないで、荘だけがその場に居るのか…一度、貴方を狙って失敗した荘が、あのままでいるとは考え難い。そこに飴と鞭の件…」
「荘が鞭の役?」
ヤンが頷いた。
悪い方に勘繰れば、そう思えなくもない。
しかし、竜治は幾ら何でもそれは無いのでは、という気がした。
「親栄会と古森は私に渋谷を任すと言ってたんですよ。荘達には渋谷で商売をさせないとはっきり言っていた。仮に、今回の事が私の危惧している内容とは全然違う事であったとしても、ならば私に一言も話しが無いという事は、どうしてなんです?今、親栄会はいろいろ複雑な状況のようです。澤村さんが死んで、河田が跡を継いだ事も、かなりきな臭い話しになってるんですよ。どうも、古森がバックに付いているらしいんです。あの人、ヤクザを引退したと言っても、野心家ですからね…」
ヤンの話しを聞いても、今一つ納得出来ない部分があったが、しかし、竜治にしてみれば、荘という人間は、一時期、ヤンのみならず、親栄会全体で的に掛けた人間である。
単に、手打ち的な話しの為に会っていた訳ではあるまい。
そういう話しならばもっとトップの人間が出て行く筈だ。
金田はともかくとして、河田では役者不足だ。
「私は日本人の信義を信じたい。ですが、今は揺らいでいます。はっきりと私が信じれる日本人は、妻と神崎さん、貴方だけです…」