凶漢−デスペラード
竜治の言葉に頷きながら、

「確かにそうかも知れません。横浜で襲わせたのも、命迄とは考えて無かったような気がします。本気だったら、鉛の玉が雨のように降ってた筈ですから。」

と浅井が言った。

竜治はエニグマで聞いて来た話しをした。

「恐らく、客は既に身元をきちんと洗われて、事前に招待状が届けられている筈です。」

「でしょうね。ヤクパーティーという事になれば、貸し切りの一般客NGが決まりみたいなもんですから。それで、実は河田のこのイベント、潰そうかと思ってるんです…」

竜治は、自分の思い付いた案を話し出した。

「浅井さんは、知り合いでイベント関係のプロダクションか人間を知りませんか?」

「直接ではありませんが、心当たりはあります。」

「その方が都合良いかも知れない。自分達との関係が結び付け難い人間が一番ベストですから。」

「しかし、どんなに私達がバックに付いている事を隠していても矛先は向けられますね。」

「ええ、その辺の覚悟は前以てして置かないと…」

河田のイベントの日と同日、クレージービートとマジックのスケジュールを押さえる事が出来た。

金に物を言わせて、かなりごり押しをして決めた。

次に、竜治は渋谷の風俗店やキャバクラのホステスの中からNO,1クラスばかりをピックアップし、破額のギャラでイベントと同日を押さえた。

それだけでなく、浅井のスカウト会社からの紹介で、AV嬢やストリッパーに迄声を掛けた。

準備段階で河田に情報が洩れないようするのに、かなり苦労した。

目的が儲ける事では無く、あくまで河田のイベント潰しだったから、その点、幾らでも好きなように出来た。

狙いは、警察が黙っていられなくなる位、派手にやり、それによって、エニグマに来る客を寄せ付け無いようにしようという事であった。

念の為に、竜治はエニグマの店長やスタッフ全員と会って話しをし、当日の事を匂わせた。

金を掴ませ、女を抱かせたら、皆、竜治の手の中に入った。

「いいか、当日はマジックとクレージービートで相当でかいイベントがある。恐らくかなり派手にやるみたいだから、薬なんか持ってたら、一発でブタ箱にぶち込まれる位、お巡りが出るぞ。」

< 146 / 169 >

この作品をシェア

pagetop