凶漢−デスペラード
渋谷の街は、何時もと変わらぬ平穏さを見せていた。
だが、それは表面上の事であって、水面下では火山の爆発を予測させるような不穏な空気で満ち溢れていた。
河田に守代を納めていた風俗店や飲食店が、僅か一ヶ月ばかりの間にバタバタと潰れた。
売上が落ちて、現実に資金繰りが行かず店を閉めた所もあったが、実際は、全て裏で竜治が手を回していたのである。
カジノ二店舗の売上をそっくり買収資金に回し、不足分は、ヤンの妻であった晴美のコネを使い、資金集めをした。
使える金は、ある意味無尽蔵にあった。
晴美の亡父の影響力は、死して尚強し、の感があった。
晴美にしても、ヤンの死の真相が、河田を初めとした、己の利害だけを考える人間達の犠牲にあると知ったが故、竜治に協力する事は自らの復讐にもなると思ったからである。
閉店したそれぞれの店舗に、直ぐに新しい店が出来た。
直ぐさま、河田の所の若い者が新しい店を自分達のシノギにしようと出向いたが、それらの店は、全て西尾の息が掛かり、浅井が直接のケツ持ちになっていた。
更には、河田が直接のシノギとして抱えていたデートクラブや、デリヘルで働く女達が次々と引き抜かれた。
いずれも、その店ではトップクラスばかりで、残った女は、客の付けようの無い者ばかりになった。
引き抜かれた女達は、一旦、新宿や池袋の同業に預け、ワンクッション置いてから、渋谷界隈の店に送り込まれた。
関わっていたのは、浅井が新たに立ち上げたスカウト会社である。
客引き達も、河田の店に客を持って行こうとはしなくなった。
竜治がひそかに手を回したのである。
こうなると、会への上納金すら、期日に間に合わなくなって来る。
自然、若い衆から吸い上げる金が多くなり、それに堪えられなくなった者は、河田の元を離れるか、ギャング紛いの悪事を働き破門となる。
行き着く所はシャブになる。
元々、河田が仕切っていた分野だったから、仕入れルートには事欠かない。
だが、大口の買手が軒並みパクられ、大量に捌けなくなってしまった。
そればかりか、シャブ絡みで自分の組の者が続けて捕まった事で、河田本人にそのツケが回って来たのである。
エニグマの件から三ヶ月後、河田に破門状が出された。
だが、それは表面上の事であって、水面下では火山の爆発を予測させるような不穏な空気で満ち溢れていた。
河田に守代を納めていた風俗店や飲食店が、僅か一ヶ月ばかりの間にバタバタと潰れた。
売上が落ちて、現実に資金繰りが行かず店を閉めた所もあったが、実際は、全て裏で竜治が手を回していたのである。
カジノ二店舗の売上をそっくり買収資金に回し、不足分は、ヤンの妻であった晴美のコネを使い、資金集めをした。
使える金は、ある意味無尽蔵にあった。
晴美の亡父の影響力は、死して尚強し、の感があった。
晴美にしても、ヤンの死の真相が、河田を初めとした、己の利害だけを考える人間達の犠牲にあると知ったが故、竜治に協力する事は自らの復讐にもなると思ったからである。
閉店したそれぞれの店舗に、直ぐに新しい店が出来た。
直ぐさま、河田の所の若い者が新しい店を自分達のシノギにしようと出向いたが、それらの店は、全て西尾の息が掛かり、浅井が直接のケツ持ちになっていた。
更には、河田が直接のシノギとして抱えていたデートクラブや、デリヘルで働く女達が次々と引き抜かれた。
いずれも、その店ではトップクラスばかりで、残った女は、客の付けようの無い者ばかりになった。
引き抜かれた女達は、一旦、新宿や池袋の同業に預け、ワンクッション置いてから、渋谷界隈の店に送り込まれた。
関わっていたのは、浅井が新たに立ち上げたスカウト会社である。
客引き達も、河田の店に客を持って行こうとはしなくなった。
竜治がひそかに手を回したのである。
こうなると、会への上納金すら、期日に間に合わなくなって来る。
自然、若い衆から吸い上げる金が多くなり、それに堪えられなくなった者は、河田の元を離れるか、ギャング紛いの悪事を働き破門となる。
行き着く所はシャブになる。
元々、河田が仕切っていた分野だったから、仕入れルートには事欠かない。
だが、大口の買手が軒並みパクられ、大量に捌けなくなってしまった。
そればかりか、シャブ絡みで自分の組の者が続けて捕まった事で、河田本人にそのツケが回って来たのである。
エニグマの件から三ヶ月後、河田に破門状が出された。