凶漢−デスペラード
はしゃぐ姿は年齢相応の少女だ。
よく見ると、化粧も濃くはない。
「お前、昨日見た時より、可愛いな。」
「何それ、変な褒め方。」
「変か?」
「うん、変。」
意味もなく二人して笑った。

マルイでスーツから何から一式買い揃えアパートに戻った。
夕方というより、夜と言っていい時間になっていた。

さすがに眠い。
竜治は崩れ落ちるように布団に倒れこんだ。

「服、着替えないとシワになっちゃうよ。」

ジュリがそう言って、竜治の上着を脱がそうとした。
竜治は、伸びて来た腕を掴み、自分に引き寄せた。

「するの……」

ジュリの眼が心無しか怯えてる。

「違う…このまま抱かせててくれ…ここ二日まるっきり眠ってなかったからぐっすり眠りたいんだ。」
「いいよ…アタシもこうして寝る…」

ジュリは竜治の胸の中に身体を潜らせた。
掛け布団が掛けられると、何だか洞窟にでも入ったかのような気分になった。

「お前…いい匂いだよな…」
「リュウちゃんの匂いも…」
「俺のは汗臭いだろう。」
「ううん。なんかね、ホッとする匂い…クラブ辺りに居るチャラ男みたいに、やたらコロンとかつけてないし…」
「そんなもん持ってねえからな……」

暫くたわいも無い会話をしているうちに、竜治から微かな寝息が聞こえ出した。
ジュリもそれにつられるかのように、眠り始めた。

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