凶漢−デスペラード
3…傷の理由
「ただいまァ!」
学校から帰って来るなり、ジュリは大概、真っ直ぐ二階の義兄の部屋を覗く。
母は、パートで夕方の六時頃迄は帰って来ない。
ジュリが学校から戻る時間に家に居るのは、浪人中の義兄だけだ。
一浪して、来春こそは希望の国立大学に入りたがっている義兄は、このところ一日の大半を受験勉強に当てている。
ジュリは、新しく出来た義兄が好きだった。
まだ小学生だから、インテリという意味など知らないが、義兄から受ける印象はそんな感じだった。
ジュリの勉強とかも良く見てくれたし、子供特有の取るに足らない質問でも、何時も笑顔で答えてくれた。
二人で仲良くTVゲームをしていて、夕飯の時間になってもなかなか二階から降りて来ない時など、母が、
「あんた達、本当の兄妹以上に仲がいいわね。」
と、良く言われた。
義父は口数の少ない人で、普段家では余り感情の起伏を表さないタイプだった。
その日も、何時ものように義兄の部屋に入ろうとした。
鍵は掛けられていないから、何時も勝手に入る。
ドア越しに中からTVの音が微かに聞こえて来る。
「おにいちゃんゲームしてるの………?」
そう言ってドアを開けた瞬間、ジュリの目に飛び込んで来たのは、画面一杯に映し出された男女の裸だった。
その行為がなんであるか、ジュリにも判った。
そして、その事よりもショッキングだったのは、義兄がベットの上で下半身を露出していた事であった。
男の性器を見た事は小さい頃に銭湯とかで何度かあったが、その時に目にした物とは、まるで異質な状態の物が義兄の股間にあった。
互いに数秒間、凍りついたかのようになった。
TVに映し出されている映像と、秘め事の卑猥な声が、二人をより無言にさせた。
ここにいちゃいけない……
子供心にそう感じたジュリは、か細い声で、
「ごめんなさい……」
と言って部屋を出ようとした。
義兄に背を向けた瞬間、物凄い勢いで義兄がベットから跳ね起き、ジュリの方に向かって来た。
ドアの前でいきなり後ろから羽交い締めにされた。
「キャアー!」
「……」
無言の義兄の鼻息がジュリの耳元で何度も息づいていた……
学校から帰って来るなり、ジュリは大概、真っ直ぐ二階の義兄の部屋を覗く。
母は、パートで夕方の六時頃迄は帰って来ない。
ジュリが学校から戻る時間に家に居るのは、浪人中の義兄だけだ。
一浪して、来春こそは希望の国立大学に入りたがっている義兄は、このところ一日の大半を受験勉強に当てている。
ジュリは、新しく出来た義兄が好きだった。
まだ小学生だから、インテリという意味など知らないが、義兄から受ける印象はそんな感じだった。
ジュリの勉強とかも良く見てくれたし、子供特有の取るに足らない質問でも、何時も笑顔で答えてくれた。
二人で仲良くTVゲームをしていて、夕飯の時間になってもなかなか二階から降りて来ない時など、母が、
「あんた達、本当の兄妹以上に仲がいいわね。」
と、良く言われた。
義父は口数の少ない人で、普段家では余り感情の起伏を表さないタイプだった。
その日も、何時ものように義兄の部屋に入ろうとした。
鍵は掛けられていないから、何時も勝手に入る。
ドア越しに中からTVの音が微かに聞こえて来る。
「おにいちゃんゲームしてるの………?」
そう言ってドアを開けた瞬間、ジュリの目に飛び込んで来たのは、画面一杯に映し出された男女の裸だった。
その行為がなんであるか、ジュリにも判った。
そして、その事よりもショッキングだったのは、義兄がベットの上で下半身を露出していた事であった。
男の性器を見た事は小さい頃に銭湯とかで何度かあったが、その時に目にした物とは、まるで異質な状態の物が義兄の股間にあった。
互いに数秒間、凍りついたかのようになった。
TVに映し出されている映像と、秘め事の卑猥な声が、二人をより無言にさせた。
ここにいちゃいけない……
子供心にそう感じたジュリは、か細い声で、
「ごめんなさい……」
と言って部屋を出ようとした。
義兄に背を向けた瞬間、物凄い勢いで義兄がベットから跳ね起き、ジュリの方に向かって来た。
ドアの前でいきなり後ろから羽交い締めにされた。
「キャアー!」
「……」
無言の義兄の鼻息がジュリの耳元で何度も息づいていた……