凶漢−デスペラード
部屋に戻ると、待ち疲れてか、ジュリは万年床の上で身体を丸めて寝ていた。

テーブルの上には、ラップがされたサラダと、鍋いっぱいに作られたシチューがあった。

後ろめたさが竜治の心に生じた。

服を着替え始めた竜治の気配で、ジュリは目覚めた。

「…ゴメン、アタシ寝てた……」

「俺の方こそ、遅くなっちまった。これ、お前が作ったのか?」

「うん、でもインスタントだから…」

「インスタントラーメンしか作れないって言ってた割には頑張ったんだな。」

はにかむジュリの表情は、あどけない少女そのものだった。

俺はずるい男なのか……

ジュリの想いに、自分はきちんと向き合っていない。

嫌いではない事は確かだ。
寧ろ愛おしいと感じる事の方が多い。
なのに、心の中にもう一人の女が存在し始めている。

「シチュー、あっためるね。」

布団から起き上がったジュリは、狭いキッチンで鍋を火に掛けた。

「大丈夫だったの……」

「…ああ。」

田代を襲った場面が蘇った。

「遅いから心配したんだよ…あん時、リュウちゃんの声、電話で聞いてても怖かったから…」

「その割には、しっかり寝てたぞ。」

「心配し過ぎて疲れちゃったの。」

竜治の軽い冗談に、ジュリは子供のように拗ねた。
台所に立つ後ろ姿が、ままごとをしている少女のようだ。

竜治の身体の中で、急速に欲望が首を持ち上げた。
ジュリの側に立った竜治は、後ろから羽交い締めにするかのようにして抱き寄せた。

「…シチュー……」

「………」

首筋に唇を当てる。

「アッ…」

無言のまま竜治は押し当てた唇を首筋から肩へと這わせた。

「リュウ…ちゃん…」

竜治の手は、何時しか胸へと行き、服の上から揉み上げた。
ジュリの小さな唇から微かに喘ぎ声が漏れた。
竜治の欲望の火に油が注がれた。
フレアのミニをたくし上げるようにして、いきなり下着の中に手を入れた。

「アッ、アッ…」

ジュリの声が一オクターブ上がった。
竜治はもう一方の手でジュリの顔を後ろ向きにさせた。
喘ぐ唇を自分の唇で塞いだ。
下着の中の手は、荒々しい動きを始め、何時しか潤みの中に押し入れられた。
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