凶漢−デスペラード
身体を支える為に両手をつこうとしたジュリだったが、狭いキッチンシンクだから、置いてあった小鍋や食器用洗剤を倒してしまった。

「…待って、お布団…」

潤みの中の指は動きを止めない。

声にならない声が漏れる。
竜治の息が荒くなり、同時に動きも荒々しくなって行った。

「…お願い、お布団で、ね、ね…」

少しずつ身体の向きを変えたジュリは、そのまましゃがみ込む姿勢になり、ゆっくりと這うようにして、竜治を布団の方へと導いた。
潤みの中にあった竜治の指をジュリはそっと抜き、掴む。
竜治は、熟練した娼婦に導かれるかのようにして、ジュリの身体から着ている物を剥ぎ取って行った。

竜治の突然の行動に戸惑いながらも、ジュリの心はこの時を待ち望んでいたから、戸惑いが歓喜に変わるのに、さほど時間は掛からなかった。
テクニックも何も無い、ストレートな欲望がジュリの中心を貫いた。
自らは服を脱ぐのももどかしくて、行為をしながら脱いで行った。
竜治の律動は、最初から最後迄荒々しかった。
女を喜ばそうとかのそれではない。
覆いかぶさりながら、胸を揉みしだき、喘ぐジュリの唇を乱暴に吸う。
ジュリの中で、初めて経験する高まりが始まった。
急激にそれは訪れ、頭の中がいきなり真っ白になった。

「アッ、アー…アゥッ……」

酸欠状態のようになったジュリを見て、竜治の動きも一段と速くなった。
潤みの中が収縮をし始め、溢れる蜜は幾筋にもなって流れ出た。
ジュリの身体が一瞬のけ反り、自ら竜治の分身をより深く飲み込もうとした。
ジュリの絶頂に少し遅れて、竜治の高まりが来た。
打ちつけていた腰が止まった。

時が止まった。
訪れた静寂の中で、二人の荒い息だけが聞こえた。

「心臓が…」

「ん?…」

「リュウちゃんの…心臓が…アタシの…心臓に響いてるよ…」

「…こんなに動いたの…初めてだ…」

「アッ……」

「どうした?」

ジュリの中で小さくなった竜治の分身が、吐き出された物と一緒に抜けた。
顔を赤らめて、

「…ティッシュ……」

とジュリは言って枕元に手を延ばした。
竜治がその手を押さえ、身体を起こし、ティッシュを抜き、ジュリのぬめりの部分を拭いた。

「恥ずかしいょ…」
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