凶漢−デスペラード
富ヶ谷のマンションに戻ったが、ジュリはまだ帰って来てなかった。

寝不足気味と、アルコールのせいで、服を着替える気も起きなかった。

リビングのソファにそのまま眠ってしまった。



遠くで不快な機械音がしている。

連続音がエンドレスで聞こえて来る。

頭にやたら響くその音が、自分のケータイの呼び出し音だと気付いた時、竜治はジュリの名を呼んでいた。

「ジュリ、ジュリ!電話に出てくれ……」

返事が無かった。

時計を見ると八時半だった。

ケータイがまだ鳴っている。

床に転がっていた。

電話の相手は上原だった。

「…今、朝か?それとも夜か?」

(朝です……)

「そうか…全然寝てないんだ、急ぎじゃなきゃもう少し眠らせてくれ……」

(警察から連絡がありまして…)

「警察?」

(ジュリちゃんが死にました……)

「………。」

頭痛とともに、耳鳴りがし始めて来た………



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