家族チェンジ法

「母さん……」

女の顔は涙でぐちゃぐちゃだ。



「これもきっと、御祈りが足りないからなのよ。あなたも一緒に」




かちん。

俺の何かの線が切れる音がした。



「お願い、祈ってちょうだい」

女は叫ぶ。



「いいから! 金出せって言ってんだろ!! 酒が買えねーじゃねーか」

男はまた足で襖に穴をあけていた。


この薄っぺらい壁では、きっとアパートの隣の部屋まで聞こえているだろう大音量で叫びながら。

気が違えてる。



そうとしか言えない。

毒になる親という言葉があるが、そんな生易しい言葉で彼らを例えることはできない。



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