甘い毒
理子は社長室へと向かった。社長室は一等地ビルの最上階にあり、秘書科を通りすぎた所にある。
コンコン
「成瀬です。」
「入って」
中から低く澄んだ声がきこえる。
あの男の声だ。
「はい。失礼します、ご用件はなんでしょう?」
「理子ちゃんのお父さんの会社、倒産するんだってね?」
私はこの男が嫌いだ。
「それがどうかしましたか?」
理子は無表情を崩すことなく、一夜に問いただす。
「俺と契約しないか?」
一夜は妖艶に微笑みながら言った。
(は…?契約?)
「契約とは?」
「もじ成瀬理子゙が俺゙天宮一夜゙との契約を結べば、君の父親の会社を助けてやる」
(会社を助ける?父の会社が助かるの…?)
「それは…私があなたの出したなんらかの条件をのめば、父の会社を倒産から救う、という事でしょうか?」
「ああ。だが条件ではない、あくまでこれば契約゙だ」
(どちらでも変わらないと思うけど…)
「…その契約の内容は?」
理子は少し同様したがまた淡々と話した。