甘い毒
「俺との結婚。」
一夜は理子をからかっているかのような口調で言った。
「け…結婚?私が、あなたと?」
クス
「ああ」
理子は唖然とした。
(私と結婚っ?どうして?私と結婚してこの男になんのメリットがあるの?)
やっぱり私はこの男が嫌いだ。
全てを見透かしたような鋭い目。
やけに整った容姿。
澄んだ声。
おまけに…女遊びが激しい。
「理子…」
「きゃっ!」
いつのまにか一夜が理子の前に立っていた。
「どうする?」
一夜の澄んだ声に一瞬理子はビクッとなった。
「…っ…あど、どうして結婚なんですか?!」
「この頃祖父が結婚しろってうるさくてね…見合いしろっつーんだよ」
「お見合いぐらいしてきたらいいじゃないですか!!」
「見合い相手は生粋のお嬢様だぜ?俺がそんな女と結婚できると思うわけ?」
(うっ…確かに…社長の性格なら無理だろうと思うわ)
「ではどうして私ならいいんですか??」
「君は俺の事が嫌いだろ?俺のプライベートまで監視したり嫉妬したりはしないはずだ」