incarnate
幸せな日々が続くと思った。
決してそれは間違っていない。
少なくとも、あたしは次の年の聖夜まで幸せを感じていたんだから。
思いがけなく見てしまった現場。
好きな人は、付き合い始めた当初から他に彼女がいたんだ。
あたしは2番目。
ううん、それ以下の女でしかなかった。
つらくて涙を流した聖夜、見上げた空に星はなかった。
大好きだった。
誰よりも。
続くと思ってた。
幸せな日々が。
永遠なんて儚い言葉を、信じていたあたし。
心にできた傷口を、優しく撫でてくれるような人は、もういない。
あたしは独りぼっち。
途方に暮れた聖夜。
だけど神様は見捨てたりなんかしなかった。
.