incarnate





幸せな日々が続くと思った。

決してそれは間違っていない。



少なくとも、あたしは次の年の聖夜まで幸せを感じていたんだから。





思いがけなく見てしまった現場。


好きな人は、付き合い始めた当初から他に彼女がいたんだ。


あたしは2番目。

ううん、それ以下の女でしかなかった。





つらくて涙を流した聖夜、見上げた空に星はなかった。





大好きだった。

誰よりも。



続くと思ってた。

幸せな日々が。



永遠なんて儚い言葉を、信じていたあたし。





心にできた傷口を、優しく撫でてくれるような人は、もういない。


あたしは独りぼっち。





途方に暮れた聖夜。

だけど神様は見捨てたりなんかしなかった。





.
< 4 / 10 >

この作品をシェア

pagetop