小さな恋【完結】
「繭ちゃん、ごめん。やっぱり、あたし協力できないから」


最初から、そうキッパリ言えばよかったんだ。


そうすれば大知を傷付けずに済んだ。



あたしは繭ちゃんに小さく頭を下げた。


「……ちょっ!真依子ちゃん。顔上げてよ!!」


繭ちゃんはあたしの肩を掴んで顔を覗き込む。


「……え?泣いてるの……?」


「ごめん。あたし……――」


突然泣きだしたあたしに、繭ちゃんは困惑していた。


「廊下掃除してから帰るから。また、明日ね?」


あたしは呆然とする繭ちゃんに一方的に別れを告げて、歩きだした。
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