小さな恋【完結】
廊下の端にある掃除ロッカーを開けると、咳き込んでしまうくらいのホコリが宙を舞う。


その時、ふと二年前の記憶が蘇った。


あたしが掃除当番の日、大知は必ず手伝ってくれた。


掃き掃除があたし。机を運ぶのは大知。床を拭くのも大知。


ゴミを集めるのも大知。


掃除当番じゃないのに、一番頑張るのも……大知。


それを鼻にかけることなく、大知は「よく頑張りました」と言ってあたしの頭をいつも優しく撫でてくれた。


「どうして、手伝ってくれるの?」


掃除が終わってそう聞くと、大知はあたしの手をギュッと握って言った。


「掃除当番って言えば、部活の時間に少しくらい遅れても大丈夫だから」


あの当時、大知はサッカー部のレギュラーを任されていた。


2年生でレギュラーだったのは、大知だけ。


放課後はいつも部活だし、土日は地域のサッカークラブに通っていたから二人の時間はあまりとれなかった。


< 105 / 460 >

この作品をシェア

pagetop