小さな恋【完結】
「途中まで一緒に帰らない?」
振り返ると、そこには柔らかい笑みを浮かべる一哉先輩が立っていた。
「はい」
小さく頷いた時、校庭の隅にいた繭ちゃんがあたしの存在に気付いてこちらに駆け寄ってきた。
「真依子ちゃん……ちょっといい?」
あたしと繭ちゃんを交互に見つめた後、先輩はあたしの頭をポンッと叩いた。
「帰るのはまた今度でいいよ?」
「あ、大丈夫です!話ならすぐ終わりますから!!ちょっとだけ真依子ちゃん貸してください!」
気を遣ってくれた一哉先輩にニコリと笑い掛けると繭ちゃんはあたしを見た。
「ずっと考えてたんだけど、真依子ちゃん、大知君のこと好きなの?」