小さな恋【完結】
「真依子ちゃんが前に屋上でしてた話って、あれ自分のこと?」
「……え?」
思わずビクッと体を震わせると、先輩は溜息交じりに言う。
「真依子ちゃんの元カレってこの学校にいるんでしょ?元カレを好きな友達ってさっきの子じゃないの?」
時間が止まってしまったみたいな感覚。
あたしの立っている場所だけ、異空間みたい。
突然立ち止まったあたし達の横を他の生徒達が避けるように追い越していく。
一哉先輩は全部お見通しのようだ。
「……俺、間違ってるかな?」
自信たっぷりの笑みを向ける一哉先輩にあたしは何も言えずにいた。