小さな恋【完結】
ここ数日間。


夢の中に毎日大知が現れる。


話しかけても、大知は何の反応も示してくれない。


大声で手を振っても、何度名前を呼んでも。


大知はあたしの存在に気付いてくれない。


ああ、これは夢なんだ。


だから大知はいつもみたいに笑ってくれないんだね。


夢だって分かっているのに、いつも不安が込み上げてくる。


大知、こっちを見て。


あたしはここにいるよ。


お願い……大知……


夢の中でも涙は温かく頬を伝う。



ハッとして目を覚ますと、いつも枕は涙で濡れていた。
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