小さな恋【完結】
大知と繭ちゃんが付き合い始めたという知らせに自分でも信じられないほど動揺していた。
大知が女の子と付き合うなんて当たり前のことなのに。
モテる大知が今まで彼女をつくらなかったことが不思議なくらい。
それなのに……どうしてこんなにも胸が痛いんだろう……。
「……真依子?」
涙を流しながら廊下を走っていると、突然名前を呼ばれた。
その声の主が誰かなんてすぐに分かる。
今、もっとも会いたくない人。
あたしはその声を無視して走り続ける。
お願い。今だけはあたしを放っておいて!!
「……――おい、待てよ!!」
そんな願いもむなしく、追いかけてきた大知はあたしの腕をガシッと掴んだ。