小さな恋【完結】
閉じていた瞼を慌てて開く。


「起きてます」


「ごめん、やっぱり無理かも……」


「へ?」


「俺は男だし、布団の中だしやっぱマズイ状況だよね?」


あたし達は背中を向けたまま会話を続ける。


お互い、できるだけ限り布団の端に寄って。


「それなら、あたしが出ますよ。先輩は布団で寝てください!!」


「いや、いいよ。俺が……――」


慌てて振り返った先輩とそんな先輩に顔を向けたあたし。


一瞬だけ。


ほんの一瞬だけ至近距離で視線が熱く絡み合った。

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