小さな恋【完結】
「唯ね、お兄ちゃんに聞いたことあるの。このお姉ちゃん、誰って。そしたらお兄ちゃん言ってたよ。大切な人だって」


「大知が……そんなことを?」


「そう。だからね、お兄ちゃんにお姉ちゃんと会いたいってお願いしたの」


「そうなんだ……?」


「うん!玄関開けた時にすぐ気付いたよ!お姉ちゃんがお兄ちゃんの大切な人だって」


唯ちゃんの言葉に、目の前がグラグラと揺れる。


頭が真っ白になって息をするのが苦しい。



「ごめん。ちょっと、トイレ借りていいかな?」


唯ちゃんの濁りのない純粋な瞳から逃げるように、あたしはリビングを飛び出した。

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