小さな恋【完結】
二人で撮った最初で最後のツーショット写真。


それを大知は今も部屋に飾っている。


中2の体育祭の日、肩を並べて撮ったあの写真を。


まだ今より少しだけ幼いあたし達の無邪気な笑顔がそこにはあった。


二枚しか存在しないその写真の片割れは、あたしの部屋の机の奥底に苦い思い出としてしまわれている。


でも、一枚はいまだに明るい場所に置かれていた。



「どうしたらいいの……?」


トイレに飛び込んで壁に背中を預ける。


胸が張り裂けてしまいそうなほどに痛んで、胃の奥に鋭い痛みが走る。
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