小さな恋【完結】
唯ちゃんを起こさないように階段を一歩一歩慎重に降り終えた時、タイミング良く玄関の扉が開いた。



「あ、大知……。おかえり」


あたしは強張りそうになる口元をクイッと持ち上げた。


「ただいま。唯、もう寝た?」


大知は小声でそう聞くと、唯ちゃんの部屋の方向を見上げる。


「うん、今寝たよ」


「そっか。今日は悪かったな。ありがとう」


「ううん」


大知は靴を脱ぐと、手に持っていたコンビニ袋を持ち上げた。


「アイス、買ってきたから。一緒に食おうぜ?」


「うん。ありがと」


「アイスを食べたら帰るね」そう付け加えると大知は「了解」と言ってリビングに入っていった。

< 189 / 460 >

この作品をシェア

pagetop