小さな恋【完結】
「真依……子?どうした?」


一哉は唖然とした表情であたしを見つめる。


あたしは思わずベッドから立ち上がって一哉と距離をとった。



「……ごめん。何でもないの。気にしないで?」


「なぁ、俺、何かした?したなら謝るからさ」


一哉に背中を向けて、震える体を両腕で抑え込む。


こんなはずじゃなかったのに。


あたしは心の中でポツリと呟く。



一哉が好きなのに。


好きなはずなのに。


どうして、頭の中に大知の顔が浮かぶんだろう。


忘れようと努力しても、いつもふとした時に頭の中に大知が現れてあたしの心をかき乱す。



ギュッと唇を噛み締めた時。


≪♪♪~~♪≫

バッグの中にしまっておいた携帯がけたたましく鳴りだした。

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