小さな恋【完結】
一哉の手の中にある携帯は、未だに激しく鳴り続けている。


それはまるであたしを急かしているように。


大知が、あたしを呼んでいる。


そんな気がした。



「携帯返して……?」


「何で?元カレと何の話すんの?」


「お願いだから、返して?」


あたしと一哉の間に漂う、冷たい空気。


一哉はハァと息を吐くと、あたしに携帯を手渡した。




「……もしもし?」


声が少しだけ震える。


チラッと一哉の様子をうかがうと、ベッドの上で横になりあたしに背中を向けていた。

< 200 / 460 >

この作品をシェア

pagetop