小さな恋【完結】
「とりあえず、食べ物でも買うか」
二人の意思が一致してやきそばやお好み焼きなどの食べ物と、冷えたジュースを買った。
どこもかしこも人で溢れて、歩くのもままならない。
祭り会場から少しだけ離れた場所にやってきたあたし達。
駐車場の輪止めに腰掛けて、買ってきたばかりの焼きそばを頬張った。
「やっぱ祭りのやきそばはうまいな?」
「うん。お祭りの時って何でもかんでも美味しく感じるよね?」
横にいる一哉を見ると、一哉はなぜかある一点に視線を送ったまま呆然としていた。
口をポカーンっと開けて目を見開きながら、
「ま…いこ」
一哉は呟くように名前を呼んだ。