小さな恋【完結】
「もう、後悔しちゃダメだよ?マイコさん、きっとまだ近くにいるから」


あたしにつられて立ちあがった一哉の背中をポンッと押す。



「追いかけて、ちゃんと自分の気持ち伝えてきて……?」


「……ありがとう。真依子も、後悔すんなよ?」


一哉は柔らかい笑みを浮かべてあたしの髪をクシャクシャと撫でた。



もうこの大きな手の平で髪を撫でられることはない。


あたし、一哉に出会えてよかったよ。


本当によかった……。



「ねぇ、一哉。最後に一つだけ、聞いてもいいかな?」


「何?」


「この間、電話がかかってきた時、どうして不機嫌そうだったの?」


大知から電話だと知った一哉は明らかに不機嫌そうで。


その理由が少しだけ気になっていた。

< 223 / 460 >

この作品をシェア

pagetop