小さな恋【完結】
「……――ねぇ、大知?どこ行くの?」


あたしの問い掛けを完璧に無視したまま、大知は屋上へ続く階段を昇り始めた。


廊下にいたたくさんの生徒達に後ろ指を指されて、穴があったら入りたいくらい恥ずかしくて。


だけど、大知は誰も目に入らないかのように、ひたすら屋上を目指して歩き続けた。



「……保健室につれていってくれるんじゃなかったの?」


屋上に着くと、大知はすぐにあたしを解放した。


「まさか。真依子、椅子から落ちてケツ打っただろ?何か処置する方法ってある?」


「……お尻に湿布貼るとか……?」


「ふぅん。それなら俺が手伝うけど?」


「もう……大知のバカ!!」


なんか、懐かしい。


大知とこんな風に喋ったのはいつ振りだろう。


最近は目すら合わせていなかったのに。

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