小さな恋【完結】
「2年前さ、よく真依子に『大知のバカ』とか言われてたっけ」


「……そうだっけ?」


「そんな昔のこと覚えてんのは、俺だけか」


クックッと喉を鳴らして笑う大知に、喉元まで出かかった台詞をグッと飲み込む。


『ちゃんと覚えてるよ』


あたしは、大知と付き合っていた時のこと、全部覚えてるよ。


だけどそれを言っても何も変わらない。


あたしはアスファルトの上に座った大知の横に少しだけ距離を置いて腰を下ろした。
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